
2020-02-22
事業戦略の話
米粉パンプロジェクト「ocomejirusi」事業開発ストーリー 前編
「赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで安心して食べられる美味しい米粉パンがあったらいいな。」そんな思いから立ち上がった米粉パンプロジェクト「ocomejirusi」は、2018年4月ごろから着手し、約1年後皆様の手に届き始めました。今回は、そんな「ocomejirusi」の事業開発ストーリーをお伝えします。
▼「ocomejirusi」開発の背景についてはこちらの記事を参照
みんなが食べられる美味しい米粉パンを【ocomejirusi社内試食会レポート】
「ocomejirusi」開発までの6ステップ
一般的に、新商品を開発するステップは、次の6つの段階があります。
1.企業環境の分析
2.商品コンセプトの開発
3.基本戦略の策定(1~2のまとめ)
4.ブランド・シンボル開発
5.マーケティング・ミックスの決定
6.市場導入計画の策定
ocomejirusiは、最初のステップである企業環境分析から、実際に市場に売り出すまで、約1年間という短期間で実施しました。これから前編・後編にわたって、超高速回転の事業開発の軌跡を順を追ってお伝えします。

企業環境の分析
環境分析は、ocomejirusiの置かれている環境の分析をして、その中でどの市場を目指していくか、またocomejirusiをどういった方向性で開発していくかを決定するステップです。 「パン」あるいは「ごはん」というほとんどの生活者が毎日のように口にする商品であるため、対象となる消費者を広くとらえ、マクロの視点で分析できる「PEST分析」の手法を用い、米粉パンのおかれた環境について分析しました。
<PEST分析とは>
商品のターゲットである顧客に限らず、「企業が活動している地域に住む人」(つまり、日本人全般)に影響を与えうる要素を政治(Politics)、経済(Economics)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの側面から分析する方法です。
▼ocomejirusiのPEST分析

米粉パンという市場で生活者にどんな影響があるか、4つの視点から検討しました。
■Politics:米粉消費促進に向けたPR活動や、米粉用米の生産者支援施策、米粉の製粉技術開発の支援が政府から行われている。
■Economy:米粉製品の増加、米粉パン専門店が注目を集めるなど、米粉の消費が増えている。
■Social:「米粉パン」に関する検索結果に、米粉パンのレシピや、子どもの離乳食としての米粉パンなど、生活の中で関心が高い。また、健康志向の高まりから、グルテンフリーの食生活が注目されている。
■Technology:型崩れしない米粉パンを作るため、米の品種改良や米製品の加工技術の開発が進んでいる。
分析の結果、米粉パンのニーズは高まることが予想され、事業として期待できるという仮説を立てました。
商品コンセプトの開発
「赤ちゃんから、おじいちゃんおばあちゃんまで誰でも安心して食べられるパン」というコンセプトは軸にありながら、米粉パンのニーズを整理する中で、次の3つの課題解決がocomejirusiの商品コンセプトになりました。
①食物アレルギーに対する課題解決
②コメの消費拡大に対する課題解決
③二極化消費に対する課題解決

①食物アレルギーに対する課題解決
文部科学省の調査によると、食物アレルギーをもつ子どもはやや増加傾向にあり、特に小学生の子どもたちがアレルギーを持っていることが分かります。

文部科学省「学校生活における健康管理に関する調査」より
mannakaで、お子様のいるご家庭にアンケートを取ったところ、お子様の食事でアレルギーに気を付けている方は多く、小麦アレルギーを持つお子様にも、パンを食べさせたいと考えている方が見られることが分かりました。
そこでocomejirusiはアレルギー症状を引き起こすアレルゲン品目を使わず、アレルギー患者の方も、アレルギーもちのお子様のいる家庭でも安心してパンを食べる楽しみを提供できる米粉パンにしようと決めました。
②コメの消費拡大に対する課題解決
米の消費量は毎年減少する一方、パンにかける世帯ごとの支出金額は増えているという調査結果があります。米粉パンを提供することで、パンの需要にこたえながら、米の消費量を増やすことができます。
③二極化消費に対する課題解決
現代は経済の二極化が進み、豊かな生活を送れる人と、そうでない人の格差が広がっています。 米粉パンの相場は総じて高く、買いたいと思っても日常的に買って食べることが難しいという場合もあります。
ocomejirusiは、そんな二極化消費を解消するべく、「買って食べる」だけでなく、「発信して食べる」「作って食べる」といった様々な方法で米粉パンを提供することを考えました。この「発信して食べる」「作って食べる」の秘密は、続編にてお伝えします!
そんな3つの課題解決をする米粉パンとして、ocomejirusiの商品コンセプトが言語化されました。
こうして、「誰もが安心して食べられる」ことにこだわった、添加物・アレルゲン品目を使用しないパンであり、経済的な状況に左右されず誰もが手に取ることができるという、独自の戦略を確立していきました。
ブランド・シンボル開発
同時並行で、「ocomejirusi」の製品名や、ロゴの制作も進めました! 商品名もいろんな案の中から、現在の「ocomejirusi」に至っています。
▼最初は「こめぱん」だった。分かりやすい笑

ロゴデザインも、いろんな試行錯誤を経て、今の形になりました。
▼初期版。ロゴデザインにいろんな思いや考えが詰まっています。 でも「吹き矢っぽくない?」という意見も・・・笑

▼最終版

これをmannakaの通常の仕事をやりながら進めているのだから驚きです。 米粉パンにかける熱量を感じますね・・!
次回はこだわりの製品づくりや、プロモーションの秘密についてお伝えします!
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